可逆的選択

趣味で書いています @yadokarikalikar

送り火の中から

夜は更けている。あたりが暗くなると自然此方は明るくなる。惰性である。

「何かを始めるのに遅すぎるということはない」という口上は響きこそ美しけれ格言ではない。正しくは「あらゆるものは手遅れになる前になかったことにされる」である。この世に間に合わなかったものは存在しえない。予備軍から削除されてゆく。

他人の何気ない冗談にこそ致死性の毒素は多く含有されている。何気ない上に冗談であるものの前に人は真剣に抗うということを封じられている。笑って済まされるモノは笑いによってでしか解決されえない。

 

よく泣く。涙は大抵を怯ませる。泣けばいいわけではないと言われるし実際その通りだが実際の涙を前にしてそう言い切り難いのもまた事実。だから泣けばいい。

遮光性の強いカーテンは触れてみれば判るが布にしては厚く仕切りにしては脆い。遮光とは巧く言ったもので両方向においての間接的遮蔽物としての役割所は計り知れない。

気の迷いで死にたいと呟くことがある。同様に死ねとも呟く。何気ない冗談である。

 

炭酸水を飲み切った後の呼吸が詰まるあの風味を楽しむだけに買っている。