可逆的選択

趣味で書いています @yadokarikalikar

彼女と彼とクリスマス

「ねえ」
「どうした」
「死にたくなってきた」
「いやどうした」
「朝起きたらなかった」
「なにが」
「クリスマスプレゼント」
「なにこの子」

「毎年お姉ちゃんがくれるのに」
「あの人のシスコンぶりには目を見張るものがあるな」
「目が覚めたら枕元にお姉ちゃんが正座してて」
「うん」
「お姉ちゃんをプレゼントしますとか言われる夢は見た」
「是が非でも夢であってほしいな」

「今日はどこへ行くの?」
「まだ決めてない」
「これってデート?」
「そのつもりだが」
「ふうん。あ、私行きたいところある」
「どこだ」
「トイレ」
「度肝抜けたわ」
「これってデート?」
「度肝飛び散ったわ」

「すいぞくかん」
「クリスマスはどこも混んでるな」
「わー、あれかわいいね」
「どれどれ」
ガンガゼ
「ほぼウニだから」
「棘に毒持ってるらしいね」
「詳しい」
「あっちでショーしてるみたい」
「アシカか」
「アシカもかわいい」
「やっと女の子らしいこと言った」
「棘に毒持ってるらしいけどね」
ガンガゼ

「ごはん屋さんにきた」
「好きなもの頼んで」
「きみ」
「販売してねえわ」
「店側の怠慢」
「さしもの店も困惑するから」
「はんばーぐでいい」
「俺はどうしようかな」
「私がいるよ」
「食えと申すか」

「今日は楽しかった」
「月並みだがとっといてくれ」
「プレゼント?」
「ああ」
「ペアリング?」
「そうだ」
「略してプリン?」
「好きに呼べよ」
「ありがとう、うれしい」
「それはよかった」
「もう死んでもいいくらい」
「困る」
「もう拍動が止まってもいいくらい」
「写実的」