可逆的選択

趣味で書いています @yadokarikalikar

彼女と彼とクリスマス2

「今日は何の日でしょう」
「クリスマスだろ」
「そうだったの?」
「お前はどんな答えを想定していたんだよ」
「サンタさんが世界中を駆けずり回る日だとばかり」
「言い方って大事だと思うんだよ」

「動物園行こう」
「急にどうして」
「去年は水族館だったもの」
「でも外寒いじゃん」
「服を着れば命に別条はなくなるよ」
「そのレベルの話はしてない」
「最近生まれたパンダの双子の赤ちゃんが見たいよ」
「そうだったのか」
ミャンミャンとピョインピョイン見たいよ」
「名付け親は馬鹿なのか」
「まさか一般公募で決まるなんてね」
「よりにもよってな名前を引いてしまったな」
「名付け親として挨拶しなきゃ」
「お前かよ」

「あ、見て見て、あれかわいい」
「なにかいるのか」
「園内に設置された自動販売機」
「せめて生きものにしよう」
「あの動物はどこ?」
「どの動物」
「さめ」
「いません」
「さめだって動く物なのに?」
「カテゴライズが雑なんだよな」

「あ、あそこで兎に餌やりできる」
「してみるか」
「臭いからいや」
「取り付く島もない」
「そんなことより猛禽類が見たいな」
「構わないが」
猛禽類って兎とかも食べちゃうんだよね」
「兎に恨みでも持ってんのか」

はやぶさ、凄くかっこよかったね」
「そうだな」
「お腹空いてきちゃった」
「なにか食べにいくか」
「えっとね、焼き鳥」
「タイミングの悪さ」

「あたしのオムライスわけてあげる」
「別にいい」
「はい、あーん」
「無視か」
「おいしい?」
「うん」
「なんか餌やりしてる気分だね」
「それが言いたかっただけだろ」