可逆的選択

趣味で書いています @yadokarikalikar

2015-10-01から1ヶ月間の記事一覧

秘蜜の香り

かみさまが、もしも私に魔法を使えるようにしてくれるならと、最近の私はそればかり考えている。もしも願いが叶うなら、魔法は一度だけで構わない。それだけで私は永遠に救われる気がするから。彼女と初めて出会った場所は、窓の小さな学校の図書室だった。…

お弁当大作戦

私は彼のことが好きだ。 幼馴染で、家が隣で、元気だけが取り柄で、誰に対しても分け隔てなく優しくて、世界一かっこいい彼のことが。 だけど向こうは私のことをただの仲のいいお隣さんとしか捉えていないみたいで、ふざけあって笑うことはあっても、喧嘩し…

彼女と彼と危機管理

「ねえ」 「うん」 「あたし思うんだけど」 「なにを」 「ひとってすぐ死ぬよね」 「いきなりどうした」 「日常には色んな危険が潜んでるもん」 「いや、それはそうかもしれないけど」 「だからね」 「おう」 「シミュレーションをしようと思うの」 「色んな…

舞姫

現国の高校教材がこれまでにどれだけの変遷を経てきて、またこれからどれだけ経てゆくのかは私の預り知るところのものではないのだが、私が現役のそれであった頃の教材は森鴎外の舞姫であった。はじめて目を通したときのことはいまでも思い出せる。古めかし…